「・・成程な、確かに一人で抱えるには重いやもしれぬ」 ヤシュトールは溜め息を溢しただけだった。本格的にお手上げ、と言った様子だ。 「それで引き取って貰えそうなのか?」 「いや・・やはりなかなか上手くいかなくて」 そうだろうな。ただの幼子でも難しいだろうに、ティルカという子供は普通の子とは違う。より一層一筋縄ではいかない事だろう。 「ふむ・・」 ヤシュトールも子を育てた事などないだろう。見初めた女もいないようだし、・・それらもこれからだろうに難儀な事だ。 だが、共に行動していた者達がこの幼子に殺されたのだと分かった上で、よく共に行動しようと思ったものだ。分かった上で、この男は幼子の幸せを考えている。 人とはもっと自分勝手な生物だと思っていたが、面白い者もいたものだ。 「ならばヤシュトール。その子、我が預かってもいい」 「え?」 「このままでは早々見つかる手もなかろう。お前も手を焼いているようだしな」 「・・・」 「何者かも分からぬ者ならばこんな事は言わん。だが他ならぬヤシュトールの頼みならば引き受けよう」 息を飲む、音がした。 考えているのだろう。これからの事を、あの幼子の未来を。 きっと我が引き取る、と言い切ってしまった方が早いのだとは思っている。だが、この男の心情を考えると我が決断すべきではないと考えた。 「今すぐ決断しろとは言わん、この依頼を終えるまで・・ゆっくり考えろ」 それ以上喋るのは愚問というものだろう。手にしていた酒を飲み干して、口を閉ざす事にした。 END うちのアポカリプスさんとヒナさんのヤシュトールさんと親友というコラボをさせてもらった時に書かせてもらった話でした。 |