キャスバルド
「くそ・・・、あの時・・・」
サン
「キャスさん・・・」
キャスバルド
「おそらく、おっさんは流木に一番近くにいた。直撃したと見ていい、・・・」
クロリス
「大丈夫よ、その時リコが近くにいたもの。フォローしてくれてると思う」
キャスバルド
「だといいが。どこに流されたのやら、それさえ分かれば・・・。何か、サインでもあれば分かるんだがな」
クロリス
「心配しすぎ、・・・おじさんだってキャスバルドよりは体力あるのよ」
キャスバルド
「うるせぇ」
クロリス
「少しは信じたら? ・・・あたしはリコも、おじさんも信じてる」
キャスバルド
「・・・・・・分かってるんだよ、そんなこと」
クロリス
「分かってるならいいわ」
キャスバルド
(心配なのは・・・それだけじゃねぇんだよ、あいつは・・・ラグナスは・・・)

リコ
「うーん、どうしたものかしら・・・」
ラグナス
「・・・う、ぅ」
リコ
「! おじさま?! 気がついた?!」
ラグナス
「こ、ここは・・・? ・・・」
リコ
「私達イカダから落とされて流されちゃったのよ、覚えてる?」
ラグナス
「・・・い、かだ・・・?」
リコ
「そうよ? おじさま、自分の名前分かる?」
ラグナス
「・・・ラグ、ナス・・・」
リコ
「私の名前は? 分かる?」
ラグナス
「・・・リ、コ・・・さん」
リコ
「良かった・・・、記憶喪失になってたらどうしようかと思っちゃった」
ラグナス
「すいません・・・ご心配を・・・」


キャス
(サンちゃん達は仮眠中。・・・とは言えどこまで寝てるかは分からんが)

キャス
(オレ様なら・・・いち早く二人の無事を確認しに行ける。元の姿にさえなれば)

キャス
(川に落ちた瞬間、おっさんの顔を見た。しくじった、と言わんばかりの焦りの表情。あれがどういう意味を成しているのかは本人にしか分からない)

キャス
(確認しに行ったら・・・今度は三人に迷惑かけるか。一人で行動なんて自殺行為に等しい、けど・・・行くならオレ様一人の今しか――)

クロリス
「・・・それ、見張りしてるの? キャスバルド」
キャス
「! なんだ、クソガキか」
クロリス
「まだ心配してるの?」
キャス
「心配しちゃ悪いのかよ、心配と信頼はまた違うぜ」
クロリス
「別に悪いなんて言ってない。あたしも、不安。きっとサンもプラードも」
キャス
「・・・」
クロリス
「皆それを表に出さないようにしてる。言ったら壊れちゃうから」
キャス
「それがどうした、まさかオレ様がそうでないとでも?」
クロリス
「どうせ自分では分かってるんでしょ? あたしが言ってもあんたは認めないの知ってるし」
キャス
「なんだよ。今日はやけに喋るな」
クロリス
「あんたと同じように不安でいっぱいなのよ。キャスバルドがおじさんをより心配してるみたいにあたしだってリコに何かあったらと思ったら・・・」
キャス
「・・・お前・・・、・・・!?」
クロリス
「今、奥の方・・・!」
キャス
「光った、おそらくヒカリタケか・・・!」
サン
「二人共! 光は見ました?! 今すぐ向かいましょう!」
キャス
「・・・やっぱり寝てなかったのかよ」
サン
「はは・・・思うことは皆一つ、でしょ? さ、行きますよ!」


END