サン
「うーん・・・」
ラグナス
「おやサン君、どうしました?」
サン
「あ、ラグナスさん。実はちょっと心配事がありまして」
ラグナス
「心配事ですか・・・。それは、お聞きしても?」
サン
「はい、全然。むしろ聞いて貰いたいくらいっスから」
ラグナス
「ふふ、そうですか? 私で宜しければ話し相手になりますよ」
サン
「ありがとうございます、えと・・・クロリスちゃんの事なんです」
ラグナス
「クロリスちゃん・・・なにか気になる事が?」
サン
「オレの考えすぎならいいんですけど、ほらクロリスちゃんって男性恐怖症じゃないですか。女性は多くないですし、キャスさんとはケンカみたいなやりとりしてますしストレスとか貯まってないかなって」
ラグナス
「そうですね・・・一緒に行動してみて分かりましたが、男性だけでなく人間という者に対しても怖いようですからね・・・。私も心配しているのですが迂闊に体調を見る訳にもいきませんし」
サン
「そうなんですよねー。聞いた事にはちゃんと答えてくれるんで助かるんですけど、だからこそ余計に心配で」
ラグナス
「ですが彼女は比較的自分の気持ちをストレートにぶつけてくれていると思いますよ。キャスとケンカしているようなやりとりをしているのもそういう所から来ているのかもしれませんし」
サン
「それならいいんスけど・・・ラグナスさんもご存知でしょ? キャスさんってあの性格じゃないですか。相手が年下でも加減しないっていうか・・・相手がムキになる点を見つけては嬉々として弄るというか」
ラグナス
「あはは、そうですね。うん。彼はそういった悪戯めいた事が好きみたいですよ。・・・それにね私はだからこそキャスはよく見ているんじゃないかと思うんです。ああ見えてこれ以上はいけないと言う線引きはしていますよ」
サン
「そう・・・ですよね! 最初の出会い方が悪かったとは言え、クロリスちゃんがキャスさんの事を堂々と嫌いだって言い切ってたし気になってきちゃって」
ラグナス
「ふふ、流石はパーティのリーダーさんですね」
サン
「いやいや! よく甘いとかお節介だとかは言われますよ。そんなんだといつか死ぬぞって。それだけ大変な世界だって分かってるつもりなんですけど、どうもドライに成りきるのって向いてないらしくて」
ラグナス
「私もこの世界はドライな方々の印象しかなかったんですよ、ですから初めにキャスに頼まれた時は少し悩んだんです。やはり冒険者に対してあまりいいイメージを抱いてはいませんでしたから、でも・・・」
サン
「・・・でも?」
ラグナス
「サン君達と出会ってこういう冒険者もいるのだなと、とてもいい勉強になりました。だからお節介でもいいのではと思います」
サン
「そう言って貰えると・・・なんか照れますね。でもありがとうございます、ラグナスさん」

離れてずっと様子を見ていたキャス
「・・・・・・・・・・・・うわぁ、なんだあれ(汗) 恐ろしく近づきたくねぇ」
同じく離れてずっと様子を見ていたリコ
「なんでー? いい話してるじゃない〜」
離れてずっと様子を見ていたキャス
「だから行きたくねぇんじゃねーか、これだから真面目二人は手に負えねぇ」
同じく離れてずっと様子を見ていたリコ
「そんな事言ってホントは自分の事を話して貰えて嬉しかったりするんじゃないの〜?」
離れてずっと様子を見ていたキャス
「ない、絶対にない」



END